中小企業・税財政

中小企業金融円滑化法が廃止されました。しかも金融緩和で金融機関はリスク回避が著しく、中小企業は貸し渋りされて低金利の恩恵を受けづらくなっています。担保や個人保証主義から脱却し、将来性や地域性、環境重視による融資の促進など資金調達の多様化をはかる政策が急務です。郵貯はみんなの大事な貯金であり、日本と密接な関係にある他国のATM=打出の小槌にしてはなりません。社民党は地域のために、みどりのために、福祉のために、女性起業家やNPO、中小企業のために郵便貯金を活かす政策を進めます。

・社民党は日本版「地域再投資法」(金融アセスメント法)を創設し、民間金融機関に中小企業、NPO、ベンチャー企業、中低所得者層、女性などへの公正な融資を義務づけるとともに、金融機関の活動を評価し、地域雇用の創出、地場産業の育成、地域経済の活性化につなげます。

・地域での資金循環を活発にして地域内で資本蓄積が進むような仕組みとして、郵貯資金による低所得者や中小ビジネス、ベンチャー企業、再生可能エネルギー産業、女性の起業、NPO、ワーカーズコープなどへの投資・融資を推進。

・地域経済を支える中小企業に対する金融支援策として、 郵貯資金をこの信用保証協会に融資する道を開く政策を進めます。
官公需法にもとづく中小企業向け発注枠の拡大と目標額の増額で、中小零細企業の受注機会の増大をはかります。

・地方分権のために自治体へ権限移譲や税財源の移譲を進めることはもちろんですが、地域の景気を良くするためには中低所得者層、女性、中小ビジネス・ベンチャー企業などへの公正な融資を金融機関に義務づけ、「地域全体の需要」に応えていくことを目的とする日本版「地域再投資法」を導入します。

・「市場の失敗」を補完する役割を持った政府系金融機関を効率的に活用し、地域産業の振興、まちづくり、雇用の確保などの実現に向けて、地域金融の不安を解消します。

・公正な下請取引を実現するため、大企業による一方的な下請け単価の決定や不当廉売・優先的地位の濫用などの監督機能を強化する下請法改正に取り組みます。また、公正取引委員会の下請け取引部門の権限を強化します。

・大企業の子会社による事業協同組合への加入が、地域の中小企業活動に悪影響を及ぼす恐れがあることから、加入を制限するなど中小企業等協同組合法の改正を検討します。

・中小企業に対する法人税(所得800万円以下は15%)は、税率を11%に引き下げるとともに適用所得を1600万円に引き上げます。

・企業の99%を占め、雇用の7割を占める中小企業を「経済を牽引する力であり、社会の主役」と位置付けている「中小企業憲章」を国会で決議します。また、憲章と車の両輪である「中小企業振興条例」の制定を、各自治体に呼びかけます。

・大企業優先の産業政策から独立し、中小企業の地位向上と政策の充実をはかるため「中小企業担当大臣」を設置します。

・中小企業対策予算を倍増し、中小企業基本法における中小企業の量的規定を細分化することで、きめこまかい予算配分を実施します。

・日本政策金融公庫や商工中金など政府系金融の民営化を見直し、中小企業の拠りどころとなる公的な融資機能を強化します。セーフティネット貸付(日本政策公庫)の融資・返済条件を緩和、緊急保証制度(信用保証協会)は全業種に拡大、無担保・無保証枠を拡大、返済期間を緩和します。信用補完制度は保証料率を引き下げ、責任共有制度は小口零細企業保証制度の限度額を拡充します。

・地域の信用金庫・信用組合の健全な育成・発展をはかります。

・地域社会や福祉、環境保全に貢献しているNPOバンクについては、貸金業法による厳しい財産要件や指定信用情報機関制度の登録、運営などの諸規制を緩和します。市民活動を支え、社会に貢献する金融NPOを育成・支援します。

・コンビニでの見切り販売など不公正な取引方法を規制し、公正かつ希望あるフランチャイズビジネスの振興、オーナーや労働者の生活を守る「フランチャイズ振興法」(仮称)を制定します。

所得税

所得税の最高税率を当面50%に引き上げるだけでなく、応能負担と累進性を強化するため、ブラケット(税率のきざみ段階)を細分化します。所得税を基幹税と位置付け、再分配機能や財源調達機能を回復します。
健康で文化的な最低限度の生活には税を課さない(最低生活費非課税)という理念のもと、基礎控除に関しては最低生活費を大きく下回る現在の38万円分を倍増するとともに、税額控除化を検討します。
給与所得控除は、高額所得者層の上限(収入金額が1500万円を超える場合245万円)を引き下げます。一方、低・中所得者の給与所得控除を圧縮することには反対します。
低所得者や子育て世帯に対する「給付つき税額控除」(所得税の減額と給付金の支給を組み合わせて生活を支援するしくみ)を検討します。導入の際は、所得税の応能負担や累進性・再分配機能・最低生活費非課税の重要性を踏まえ、各種控除の統合・廃止による負担増が生じないよう、所得の向上を目的とします。
廃止された老年者控除(65歳以上所得1000万円以下、所得税50万円・住民税48万円を控除)や縮小された公的年金等控除(最低保障額120万円)を140万円に戻すなど、公的年金税制を回復し、年金生活者の負担を軽減します。
寄附金控除は、適用下限額(現行2000円)を撤廃するなど寄付金税制を引き続き拡充します。
勤労者への生活設計支援のために、財形住宅貯蓄制度の非課税限度額を拡大します。
非婚のシングルマザーに対しても寡婦控除を適用するようにします。
資産課税

金融資産性所得に対する課税を強化し、総合課税を追求します。
贈与税に関しては、家族内の所得移転ではなく、国による再分配機能を重視します。また、相続時精算課税制度における過剰な非課税枠(2500万円)を見直します。
相続税は、富の社会への還元と格差是正をはかる観点から、最高税率を引き上げます。不合理な連帯納付制度は引き続き見直し、延滞税を引き下げます。要件の厳しい事業承継税制は見直します。
膨大な金融資産などに対する富裕税を導入します。
法人税

社会保障費の企業負担が少ない日本の企業に対し、法人税率の引き下げを転換するとともに、租税特別措置や各種優遇措置を見直し課税ベースを拡大します。
国家間の法人税率引き下げ競争・国際的な税逃れを防ぐ協調体制を構築します。
中小企業に対する法人税率は、対象所得(800万円)を引き上げるとともに、税率を11%(現在15%)に引き下げます。
IFRS(国際会計基準)に対しては、国際動向、法人税収への影響などを見極め、慎重に対応します。中小企業に対しては「中小会計要領」の普及に努めます。
環境税・国際連帯税

地球温暖化対策税やガソリン税、自動車関係税を環境税(炭素税)として組みかえます。地球規模の課題を解決するため、航空券連帯税、金融取引税などを早期に導入します。
財政金融

日本銀行は、世界に先駆け、ゼロ金利政策、量的緩和、包括的な金融緩和政策などを進めてきました。しかし、デフレの脱却には至らず、雇用者所得も上がらず、雇用の非正規化が進みました。よって、更なる金融緩和に頼るだけではなく、格差・貧困の縮小、将来不安の解消、雇用の安定に向けた財政政策を実施し、国内需要を喚起します。また、金融機関による貸し渋り・貸しはがしを防止し、金融機関から中小零細企業への円滑な融資を行うよう監視します。
政府の介入を強め、戦時立法だったかつての日銀法に逆戻りしかねない日銀法改正に反対します。
不公平税制の転換と経済成長による税収増で財政再建を目指すとともに、中期的な財政健全化プログラムを新規に策定します。
改正貸金業法を堅持するとともに、高金利に頼らなくても生活できるセーフティネットの構築や総合的な生活・経営相談ができる体制を充実します。

2013年参議院選挙公約より

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