中小企業・税財政

中小企業金融円滑化法が廃止されました。しかも金融緩和で金融機関はリスク回避が著しく、中小企業は貸し渋りされて低金利の恩恵を受けづらくなっています。担保や個人保証主義から脱却し、将来性や地域性、環境重視による融資の促進など資金調達の多様化をはかる政策が急務です。郵貯はみんなの大事な貯金であり、日本と密接な関係にある他国のATM=打出の小槌にしてはなりません。社民党は地域のために、みどりのために、福祉のために、女性起業家やNPO、中小企業のために郵便貯金を活かす政策を進めます。

・社民党は日本版「地域再投資法」(金融アセスメント法)を創設し、民間金融機関に中小企業、NPO、ベンチャー企業、中低所得者層、女性などへの公正な融資を義務づけるとともに、金融機関の活動を評価し、地域雇用の創出、地場産業の育成、地域経済の活性化につなげます。

・地域での資金循環を活発にして地域内で資本蓄積が進むような仕組みとして、郵貯資金による低所得者や中小ビジネス、ベンチャー企業、再生可能エネルギー産業、女性の起業、NPO、ワーカーズコープなどへの投資・融資を推進。

・地域経済を支える中小企業に対する金融支援策として、 郵貯資金をこの信用保証協会に融資する道を開く政策を進めます。
官公需法にもとづく中小企業向け発注枠の拡大と目標額の増額で、中小零細企業の受注機会の増大をはかります。

・地方分権のために自治体へ権限移譲や税財源の移譲を進めることはもちろんですが、地域の景気を良くするためには中低所得者層、女性、中小ビジネス・ベンチャー企業などへの公正な融資を金融機関に義務づけ、「地域全体の需要」に応えていくことを目的とする日本版「地域再投資法」を導入します。

・「市場の失敗」を補完する役割を持った政府系金融機関を効率的に活用し、地域産業の振興、まちづくり、雇用の確保などの実現に向けて、地域金融の不安を解消します。

・公正な下請取引を実現するため、大企業による一方的な下請け単価の決定や不当廉売・優先的地位の濫用などの監督機能を強化する下請法改正に取り組みます。また、公正取引委員会の下請け取引部門の権限を強化します。

・大企業の子会社による事業協同組合への加入が、地域の中小企業活動に悪影響を及ぼす恐れがあることから、加入を制限するなど中小企業等協同組合法の改正を検討します。

・中小企業に対する法人税(所得800万円以下は15%)は、税率を11%に引き下げるとともに適用所得を1600万円に引き上げます。

・企業の99%を占め、雇用の7割を占める中小企業を「経済を牽引する力であり、社会の主役」と位置付けている「中小企業憲章」を国会で決議します。また、憲章と車の両輪である「中小企業振興条例」の制定を、各自治体に呼びかけます。

・大企業優先の産業政策から独立し、中小企業の地位向上と政策の充実をはかるため「中小企業担当大臣」を設置します。

・中小企業対策予算を倍増し、中小企業基本法における中小企業の量的規定を細分化することで、きめこまかい予算配分を実施します。

・日本政策金融公庫や商工中金など政府系金融の民営化を見直し、中小企業の拠りどころとなる公的な融資機能を強化します。セーフティネット貸付(日本政策公庫)の融資・返済条件を緩和、緊急保証制度(信用保証協会)は全業種に拡大、無担保・無保証枠を拡大、返済期間を緩和します。信用補完制度は保証料率を引き下げ、責任共有制度は小口零細企業保証制度の限度額を拡充します。

・地域の信用金庫・信用組合の健全な育成・発展をはかります。

・地域社会や福祉、環境保全に貢献しているNPOバンクについては、貸金業法による厳しい財産要件や指定信用情報機関制度の登録、運営などの諸規制を緩和します。市民活動を支え、社会に貢献する金融NPOを育成・支援します。

・コンビニでの見切り販売など不公正な取引方法を規制し、公正かつ希望あるフランチャイズビジネスの振興、オーナーや労働者の生活を守る「フランチャイズ振興法」(仮称)を制定します。

所得税

所得税の最高税率を当面50%に引き上げるだけでなく、応能負担と累進性を強化するため、ブラケット(税率のきざみ段階)を細分化します。所得税を基幹税と位置付け、再分配機能や財源調達機能を回復します。
健康で文化的な最低限度の生活には税を課さない(最低生活費非課税)という理念のもと、基礎控除に関しては最低生活費を大きく下回る現在の38万円分を倍増するとともに、税額控除化を検討します。
給与所得控除は、高額所得者層の上限(収入金額が1500万円を超える場合245万円)を引き下げます。一方、低・中所得者の給与所得控除を圧縮することには反対します。
低所得者や子育て世帯に対する「給付つき税額控除」(所得税の減額と給付金の支給を組み合わせて生活を支援するしくみ)を検討します。導入の際は、所得税の応能負担や累進性・再分配機能・最低生活費非課税の重要性を踏まえ、各種控除の統合・廃止による負担増が生じないよう、所得の向上を目的とします。
廃止された老年者控除(65歳以上所得1000万円以下、所得税50万円・住民税48万円を控除)や縮小された公的年金等控除(最低保障額120万円)を140万円に戻すなど、公的年金税制を回復し、年金生活者の負担を軽減します。
寄附金控除は、適用下限額(現行2000円)を撤廃するなど寄付金税制を引き続き拡充します。
勤労者への生活設計支援のために、財形住宅貯蓄制度の非課税限度額を拡大します。
非婚のシングルマザーに対しても寡婦控除を適用するようにします。
資産課税

金融資産性所得に対する課税を強化し、総合課税を追求します。
贈与税に関しては、家族内の所得移転ではなく、国による再分配機能を重視します。また、相続時精算課税制度における過剰な非課税枠(2500万円)を見直します。
相続税は、富の社会への還元と格差是正をはかる観点から、最高税率を引き上げます。不合理な連帯納付制度は引き続き見直し、延滞税を引き下げます。要件の厳しい事業承継税制は見直します。
膨大な金融資産などに対する富裕税を導入します。
法人税

社会保障費の企業負担が少ない日本の企業に対し、法人税率の引き下げを転換するとともに、租税特別措置や各種優遇措置を見直し課税ベースを拡大します。
国家間の法人税率引き下げ競争・国際的な税逃れを防ぐ協調体制を構築します。
中小企業に対する法人税率は、対象所得(800万円)を引き上げるとともに、税率を11%(現在15%)に引き下げます。
IFRS(国際会計基準)に対しては、国際動向、法人税収への影響などを見極め、慎重に対応します。中小企業に対しては「中小会計要領」の普及に努めます。
環境税・国際連帯税

地球温暖化対策税やガソリン税、自動車関係税を環境税(炭素税)として組みかえます。地球規模の課題を解決するため、航空券連帯税、金融取引税などを早期に導入します。
財政金融

日本銀行は、世界に先駆け、ゼロ金利政策、量的緩和、包括的な金融緩和政策などを進めてきました。しかし、デフレの脱却には至らず、雇用者所得も上がらず、雇用の非正規化が進みました。よって、更なる金融緩和に頼るだけではなく、格差・貧困の縮小、将来不安の解消、雇用の安定に向けた財政政策を実施し、国内需要を喚起します。また、金融機関による貸し渋り・貸しはがしを防止し、金融機関から中小零細企業への円滑な融資を行うよう監視します。
政府の介入を強め、戦時立法だったかつての日銀法に逆戻りしかねない日銀法改正に反対します。
不公平税制の転換と経済成長による税収増で財政再建を目指すとともに、中期的な財政健全化プログラムを新規に策定します。
改正貸金業法を堅持するとともに、高金利に頼らなくても生活できるセーフティネットの構築や総合的な生活・経営相談ができる体制を充実します。

2013年参議院選挙公約より

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雇用・若者

ワーキングプア・雇用差別をなくそう
現在、雇用者のうち、4分の1は年収200万円以下のワーキングプア層です。賃金や労働条件が低く抑えられた労働者派遣や非正社員が増大したことが原因です。労働契約法改正は、有期雇用を一時的・臨時的業務等、合理的な理由がある場合のみに限定する内容が与党の反対で見送られてしまいました。反復更新している労働者に対しても「5年後に」無期契約への転換の申し出権を与えるに留まっています。クーリング期間6か月で有期雇用契約がリセットされ、無期雇用への申し出ができないこと、雇い止めの誘発を抑制できないことなど問題があります。
また労働者派遣法の改正は、社民党が連立政権を離脱した後、「登録型派遣の原則禁止」 や「製造業務派遣の原則禁止」を削除し、「日雇い派遣の原則禁止」を一部の例外を 除き容認するなど、骨抜きの修正が行われ成立しました。派遣労働者の労働者保護を実効的なものとするために、改正法の運用を注視し、さらなる改善に取り組みます。
社民党は以下のような政策で非正規労働の拡大に歯止めをかけ、正規労働へ雇用の転換を進めるとともに、長時間・過密労働の解消と新規雇用の創出、ワークシェアリングを同時にすすめます。

・雇用契約は、直接雇用、期限の定めのない雇用であることを原則とします。パート 労働法、労働契約法、労働者派遣法を改正して、パート・契約社員・非常勤・嘱託・ 派遣など無限定に拡大しつづける有期契約(非正規)労働に歯止めをかけます。

・労働者派遣法について、登録型派遣の原則禁止、製造業務派遣の原則禁止、専門26業務の見直し、派遣先責任の強化、反復契約限度5年を短縮して無期転換するしくみを作るなど、残された課題に、労働者保護の観点から取り組みます。

・解雇しやすい「限定正社員」、野放図な派遣制度の拡大、残業代を払わない労働時間適用除外制度など、働く人にとって不利な制度の導入を許しません。

・サービス残業やパワハラ、退職強要など、違法行為をはたらく企業の取り締まりを強化するとともに、企業名を公表します。

・EU諸国にならい「有期契約労働者であることを理由とした合理的な理由のない差別の禁止」を規定し、有期契約労働と正規労働者との均等待遇をすすめます。

・労働の価値評価を正当に行うために、客観的な職務評価システムを確立し、同一価値労働同一賃金の原則で均等待遇をすすめます。

・最低賃金が生活保護水準を下回る都道府県の最低賃金を早急に引き上げます。

・中小企業への支援を拡充し、十分に配慮をしつつ、最低賃金を引き上げ時給1000円を目指します。ワーキングプアをなくします。

・残業の上限を法律で定めるとともに、時間外勤務手当の割増率を現行の25%から50%に引き上げて、長時間労働、サービス残業(時間外割増賃金を支払わない違法労働)を規制します。

・勤務終了後、次の勤務開始までに最低 11 時間の労働解放時間を保障する「勤務間インターバル制度」の導入を検討します。

・増加する精神疾患、過労死、過労自殺の防止に向け、国が実態調査するとともに、「過労死防止基本法」を制定します。

・労働時間規制の適用から労働者を外し、残業代を不払いとする日本版ホワイトカラー・エグゼンプション(自律的労働時間制度)の導入を許しません。

・整理解雇に関する4要件(整理解雇の必要性、整理解雇を回避するための努力、整理解雇の対象労働者の選定基準の合理性、対象労働者・労働組合への説明・協議)を雇用者に厳守させます。4要件に、雇用創出型のワークシェアリング(時間外労働・休日労働を削減し雇用を生み出して分け合う)を新要件として追加します。

・求職者支援制度(雇用保険を受給できない人等に職業訓練と生活支援費を支給)と職業訓練機能の強化を高め雇用のセーフティネットを強めます。職や住まいを失った人たちに対する総合的な相談と支援(就労・生活・住宅・緊急貸付・多重債務、職業訓練など)を、ハローワークにおいてワンストップで行う仕組みを検討し実現をめざします。

・男女雇用機会均等法の改正に取り組み、目的、基本理念に「仕事と生活の調和」の平等保障を明記します。賃金を対象事項に含み、「間接差別禁止規定」を例示列挙し、「雇用管理区分」を超えた男女差別も禁止します。

・改正育児・介護休業法の全面施行(2012年7月、中小企業も対象)を踏まえ、育児短時間勤務制度、所定外労働の制限、介護休暇の周知など、育児・介護と就業の両立について環境整備をすすめます。

・有期雇用労働者の育児休業取得は極めて低く、「産休切り」「育休切り」が増えています。育児介護休業法の有期雇用労働者の取得要件を削除し、希望者が仕事を継続できる環境を整備します。

・男女差別是正のための実効ある法整備、迅速に差別を改善するための相談窓口、救済機関の拡充、企業に対する指導の強化などの措置を講じます。積極的な男女平等実現策(教育研修や透明公正な処遇制度の構築、育児・介護支援、過去差別を受けてきた人へのサポート等)を講じ、差別をなくします。

・企業へのポジティブアクション(例えば、行動計画の策定や入札に際して行動計画策定の有無を考慮要素とする等)を義務づけ、女性が能力を生かせる環境づくりを行います。

・セクシュアルハラスメント(性的いやがらせ)、パワーハラスメント(権力や地位を利用したいやがらせ)の防止、禁止に取り組みます。
男女がともに仕事と家族的責任の両立がはかれるようワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を推進します。

・ILO雇用・職業についての差別待遇に関する条約(111号)、パートタイム労働条約(175号)、使用者の発意による雇用の終了に関する条約(158号)、母性保護条約(183号)の批准を推進します。

・シルバー人材センターなどの機能強化を図り、技術・技能、専門能力、職業などの登録制度や職業斡旋・支援を行う公共のシステムを拡充します。収入の確保、生きがい・社会参加、就労、知識・技能・能力・経験の活用、健康の保持など、高齢者と地域社会のニーズを汲み上げ、仕事を創出するとともに、地域コミュニティを育てます。希望する者全員が65歳まで働き続けられるよう改正高年齢者雇用安定法の運用を円滑にすすめます。

・国や自治体の臨時・非常勤職員の法的位置づけの明確化や待遇改善を図るとともに、パート労働法、労働者契約法の適用除外となっている公務労働についても、同法を適用できるよう法制度を見直します。また、「短時間公務員制度」を導入するとともに、諸手当の支給を可能にする地方自治法改正など法整備や運用改善をすすめます。

・事業譲渡や経営形態の変更、委託化、民営化による事業移転変更の際に、同じ雇用条件で継続して雇用されるようにします。

・ILO94号条約(公契約における労働条項)を批准し、公契約における公正取引の確保と公正労働基準の法的確立をはかるため、公契約基本法・公契約条例を制定します。

・「人間らしく働き続けたい」という願いをもつ人びとが集い、協同で出資して仕事をつくり出し、みんなで経営に参画し、人と地域に役立つよい仕事に取り組む協同組合を応援します。協同労働を推進するための協同組合法の制定を目指します。

社民党のパートタイム政策
国際労働機関 ILOのパートタイム労働法をご存知ですか?
ILO175号条約(1994年)では、すべての短時間労働者を対象とし、
1)パートタイム労働は労働者が自由に選択すべきものである、
2)労働者の権利と労働条件は比較しうるフルタイム労働者と均等とすべきである、
などの原則が定められていますが、日本はこの批准を棄権したため、勧告を受けています。
EUはパートタイム労働に関する均等待遇指令(1997年)でも、賃金・労働条件などの処遇は、類似の仕事のフルタイム労働者に対し労働時間比例となっています。このように、パートタイム労働を積極的に位置づけ、均等待遇のルールを社会的に確立することは、国際的な流れとなっています。
日本では非正規労働者への社会保険制度適用は週30時間から週20時間に拡大されましたが、若者が2カ所以上の職場に勤務せざるを得ないような制度悪用が懸念されます。このため社民党はパートタイム労働に関して、以下の政策を提案します。

・「パートタイム等労働者と通常の労働者との均等待遇の確保等に関する法律」をつくります(現行の「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」を改正して実現)。法案には、賃金その他、労働条件に関する通常の労働者との差別的取り扱いを禁止する、均等処遇を前提に、ライフスタイルにあわせてフルタイム、パートタイム労働の双方向の転換を可能とする、違反した事業主が厚生労働相の勧告に従わなかった場合はその旨を公表する、などを盛り込みます。

・ILOの175号パート労働条約を早期に批准します(ILO175号パート労働条約:パートタイム労働は労働者が自由に選択すべきものである、労働者の権利と労働条件は比較しうるフルタイム労働者と均等とすべきである)。

・すべてのパート労働者をパート労働法の差別的取り扱い禁止の対象者とし、パート労働者の権利を強化します。また実効性ある正社員転換制度を組み入れます。

若者の就職をサポートしよう
「公的な機関が知恵を絞って、登録料は安くというかリーズナブルな金額にして、いろんな企業に若者がアクセスできるようにすべきではないでしょうか。二万社の大企業が登録されている就職サイトに、若者たちが三十万人ぐらいシートを何十回、何百回と出して応募していくと。これはどう考えてもミスマッチ。今インターネット上で若者が就職を探す時代ですので、そこの工夫を、是非公的機関として、厚労省の出番でやっていただくよう申上げます」福島議員2012年の国会厚生労働委員会での質疑です。若者の就職をサポートし、若者の声が政治に生かされる社会を目指します。

・政府は子ども家庭省の設置を検討していますが、「家庭」を持てない若者が多くいる現状をふまえ、「人生前半の社会保障」を強化するためにも、「子ども・若者省」(仮称)を設置します

・「高卒就職ジョブサポーター」「大卒就職ジョブサポーター」を公共職業安定所に配置するとともに、各学校へも派遣し、適職選択のための情報提供、職業相談、職業紹介などの支援を強化します。就職解禁日の設定、卒業後3年間は新卒扱いとすること、通年採用の推進など、企業と学生双方に有益となる新しい就職活動に関するルールをつくります。

・若年雇用奨励金制度を創設し、新規採用人数の一定割合を既卒の若年層から採用する制度の導入、トライアル雇用からの正規採用、ジョブ・カードによる正規採用などを推進します。

・自立支援、就労支援の前提として、まっとうな雇用環境をつくる必要があります。「働きがいのある人間らしい仕事」を実現し、「ブラック企業」の改善に取り組みます。
・30歳未満で新規開業5年以内の若者起業家に対して、設備投資や運転資金の低利融資を実施するなど、若者の企業を支援します。

・地域若者ステーションや公共職業安定所において、フリーター等を中心に、職業教育訓練制度、職業相談・職業紹介から職業定着に至るまでの一貫した支援を行い、トライアル雇用制度の積極的な活用をはかるとともに、地域の実情に応じたさまざまな就職支援を行います。

・企業の採用サイトに、離職率や平均勤続年数の表示を義務付けます。悪質な労働条件を課すブラック企業の企業名を公表するとともに、労働基準監督署の監督体制を強化します。

・公立の職業訓練校や国の職業訓練所の削減を中止して、失業者、新卒未就職者が、技術、技能、資格を取得し、職業訓練の機会を提供できるよう機能の強化と存続をはかります。

・一人でも入れる労働組合を周知し、学校での労働法教育を実施します。また雇用保険法33条(自己都合退職による失業保険の給付制限)の趣旨を徹底し、残業代未払い・パワハラ・セクハラといった理由で会社を退職する場合でも、給付日数や給付条件で不利な取り扱いをうける“自己都合退職”とされてしまうケースを許しません。

・企業の99%・雇用の7割を占める中小企業で働く人の職場を改善するために、大企業優遇の経産省の権限を減らし、中小企業庁の権限を拡大します。「子ども・若者省」 (仮称)と中小企業庁との連携を強化します。

・中小企業基本法を改正し、中小企業の量的規定(定義)を細分化(中堅企業・中規 模企業・小規模企業)するとともに、中小企業対策予算を本予算の一般会計において 倍増し、きめこまかい予算配分を実施します。また自治体における中小企業振興条例 の制定を進めます。 公正な下請取引を実現するため、大企業による一方的な下請け単価の決定や不当廉売・優先的地位の濫用などの横暴を許さず、運用基準の監視・監督機能などを強化し、 不当な利益を吐き出させる課徴金の導入を盛り込んだ下請法改正に取り組みます。

・中小企業に対する法人税(所得 800 万円以下は 15%)は、税率を 11%に引き 下げるとともに適用所得を 1600 万円に引き上げます。

・「消費税増税法“廃止”法案」を成立させます。大企業・高所得者に応能負担を求め、 所得税率の累進性を強化し、大企業における法人税率の引き下げを転換します。

・「公契約条例(法)」(「リビングウェッジ条例」)を制定し、ケア労働や「新しい公共」 の“ブラック化”防止、“官製ワーキングプア”の防止に取り組みます。

・農業・水産業などへの戸別所得補償、「六次産業化」をすすめ、地方で働く人の労働条件を改善します。

・ 地域限定・期間限定の地域商品券・地域通貨による自然エネルギー買取制度の普及をはかり、「地域内循環型経済」を創出します。また、自然エネ・省エネ産業に関する 公的な職業訓練施設を整備します。

・孤独死や餓死が相次いでいるなか、生活保護制度の課題は保護が必要な人が制度から こぼれていることです。生活保護制度は憲法25条の生存権保障を具体化したもので あり、「最後のセーフティネット」として機能を強化します。あわせて、生活保護制度に至る以前の雇用制度、健康保険制度、年金制度を見直し、それぞれのセーフティネット機能の強化を図ります。

・求職者支援制度を強化するとともに、「パーソナル・サポート・サービス制度」(生活と就労に関する総合的な支援制度)を推進します。また、過度な就労への圧力が生じないよう注視します。

・自殺は、その多くが防ぐことのできる“社会的な問題”であり、早い段階で経路の連鎖を断ち切ることが重要です。ハローワークなどを拠点に、就労と生活支援、心の悩 み相談、多重債務者支援等のワンストップ窓口の開設に取り組みます。

・若者の自立を応援する制度を充実します。就職難の解決。不安定、低賃金のアルバイトなどに就く「フリーター」が、働く若者の五人に一人にまで急増しています。職業相談、職業教育、住居に関する制度を充実し、若者が未来に希望をもてる社会をつくります。

・若者就労支援を充実させるとともに、住宅手当の支給期間の延長と収入要件の緩和、雇用促進住宅の活用などをはかります。

・住まいは憲法25条の保障する「健康で文化的な生活」の基盤であり、住まいは人権 です。すべての人に安定した住まいを保障するため、福祉と環境の視点から住宅政策 を見直します。また、すべての人々の住生活の向上と居住保障という「居住の権利」 (HousingRights)を確立するため、住宅基本法を制定します。

・ハウジングプア、「住まいの貧困」に対するセーフティネットを強化します。公営住 宅の供給を拡大し、民間賃貸住宅も公的なインフラと位置づけ、「公的な保証人制度」 や「家賃補助制度」「公的家賃債権保証制度」などを創設します。

・各地における「居住支援協議会」の設置を進めます。不安定な居所に住まざるをえな い人の実態を調査します。

・地方自治体の「空き家バンク」を整備し、空き家の賃貸住宅化リフォームを支援する など、空き家に移住者を呼び込むことを支援します。

・「ホームレス自立支援法」の「ホームレス」の定義を見直し、実態調査し、特に若者 ホームレスの対策をすすめます。

・ ルームシェアを理由とする入居拒否、出自や国籍、人種、セクシャリティを理由とす る入居差別を厳しく規制します。

・ “男性片働きモデル”から「共働きモデル」へ、事実婚、ひとり親家庭、ルームシェ ア、養子や里親(社会的養護)、セクシャル・マイノリティ(LGBT)の婚姻などの 「ゆるやかな家族」を支援します。

・「子どもの貧困防止法」(仮称)を制定します。また、いじめ対策として、「リストラ ティブ・ジャスティス・アプローチ」を導入したり、「子どもの権利擁護委員会」「子どもオンブズパーソン」など、子どもの権利擁護のための第三者機関を各自治体に設 置します。教育の機会均等を保障するため奨学金・育英制度を充実させ、返還義務のない給費奨学金を拡充します。

・中高生のための「放課後の居場所」づくりを推進し、集まった中高生の地域コミュニ ティへの参加を支援します。

・ “高校中退者”や“学習困難者”の実態調査を実施します。

・国政や自治体選挙時に、学校における「模擬投票」を実施します。

・選挙権を行使できる年齢を18歳へ引き下げるとともに、被選挙権や供託金の引き下げも実施します。また、インターネットを利用した選挙運動を解禁します。さらに、クオータ制を導入するなど、若者の政治参画を進めます。

・国や自治体の政策決定過程・審議会等に子ども若者枠(クオータ制)を導入します。

・現在、国基準の待機児童は全国で2万5千人、潜在的待機児童は85万人とも推測され、待機児童の解消は喫緊の課題です。安心子ども基金の利用範囲を公立保育所にも広げ、認可保育所や認定こども園などの増設、改築を進めます。

・社会資源の有効活用(認可外保育施設への支援、保育ママ制度の拡充、小中学校の空きスペース等を利用しての認可保育園分園化、幼稚園の認定こども園への移行促進など)を積極的に行い、待機児童の解消を図ります。
・若者の政治参画を拡充するため、18歳選挙権・20歳被選挙権、立候補時の供託金引き下げを実施します

・日本が持つアニメ・漫画などのコンテンツ、伝統産業、商業デザイン、クリエーターの感性をいかした情報発信や海外展開など、中小零細企業を主導とした「クールジャパン」事業を拡大します。またクリエーターの賃金・労働条件の実態把握と雇用環境の改善に取り組み、離職者の再就職を支援します。

・若者カルチャーを応援するため、ダンス規制を撤廃します。

・ 若者主体のイベント・ライブ・文化活動への助成や、公共施設の無償提供などを推進 し、若者の表現活動の機会を増やします。また、インターネット上における創作物の 表現を規制する動きには反対します。地域経済の活性化のためにも、「街コン」への支援を拡充します。

・中国、韓国、アジアとの人材交流をすすめます。

2013年参院選公約および社民党若者アクションプログラム2013より

年金制度一元化
国民年金保険料の納付率は約60%と低く、その背景には収入の少ない非正社員の増加や年金制度への不信感などがあるとみられます。未納・未加入は、障害者年金の受給権が得られない、将来の低年金、無年金問題などに直結し、本人にとって非常に不利です。年金保険料免除制度の周知徹底を図るとともに、徴収業務に十分な数の職員を配置するなど、国民年金徴収率の向上を図ります。

・年金制度をはじめ、社会保険制度が、自分たちの生活のセーフティネットであり、社会の支え合いの制度であることを中学生、高校生など若い世代が、しっかりと認識できるよう学校教育、社会教育を充実します。

・年金記録を政府と国民が共有し、毎年双方向でチェックするしくみを徹底します。毎年誕生日月に送付する「ねんきん定期便」に、前年の年金加入記録の他、年金見込額、過去の加入記録、積立金の運用成績、年金制度運営のための行政コスト・間接コストなどを掲載します。
保険料の履歴や将来の受け取り見込額を自分で確認できる「マイ年金手帳」をつくります。

・年金制度を一元化し、転職や結婚などで移動する必要のない、公平でわかりやすい個人単位の制度にします。新しい年金制度は、自分の賃金が年金受給に反映される「所得比例年金」(財源は保険料)と、社会が支え合う「基礎的暮らし年金」(財源は税金)の組み合わせです。
「所得比例年金」は、だれもが無理なく支払える所得比例の保険料(給与所得者は労使折半、自営業者らは全額負担)とし、納付した保険料に見合った年金額にします。

・「基礎的暮らし年金」は無年金や低年金を防止する最低所得保障の機能を果たします。全額税財源による社会連帯のセーフティネットです。「所得比例年金」の受給額によって額は異なり、所得比例年金がゼロの単身者で月8万円を目指します。国民の合意形成を早急に行うべく国会で議論を開始し、高齢者が生活できる年金額が手元に残るように、医療・介護の自己負担(保険料と利用料)や税制のあり方を総合的に見直します。

・「所得比例年金」の保険料は税と一体徴収します。総合課税化を推進する「公平番号制度」を早期に導入し、所得を正確に捕捉して不正を防止します。

2013年参院選公約より

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住宅・町づくり・交通

日本の住宅はウサギ小屋と揶揄されて久しく、経済成長を遂げてからも住環境の改善は遅々として進みません。人手不足の建設産業を公共のハコモノ建設に偏らせず、地域住宅産業の振興を図る政策が必要です。
また自然災害に多く見舞われるこの国には、自然を畏れ共存する知恵がありました。功利主義に傾いた現代こそ、人命優先の町づくり政策に正さなければなりません。社民党は町づくり、防災政策、交通政策をはじめとする地域計画に地域の自治を取り戻します。

住宅

・すべての人々にとって「健康で文化的な生活」の基盤である、住生活の向上と居住保障を確立するため、「住宅基本法」を制定します。

・地域住宅産業は環境にやさしく地域の雇用や経済など裾野が広い効果を持っています。
省エネリフォームやバリアフリーリフォームに対する補助制度を充実させ、地域住宅産業の振興と雇用創出を行います。

・建設技能者の育成をはかるため、職業関連助成金の確保、業界全体で建設技能者養成に取り組むための建設技能者養成基金(仮称)を創設します。

・日本の伝統的な民家建築は、自然と共生し、住む人も健康に暮らせる、とても優れたエコロジー建築であり、伝統構法技術を振興します。

・建築の質を高め、社会をゆたかにするため、建築物を社会資産とみなし、建築主・所有者の財産権と周辺の環境権との調整の原則を示すような「建築基本法」の制定を目指します。

・自治体の「空き家バンク」を整備するなど、中古住宅のデータベースを整備するとともに、古い空き家や築年数の古い集合住宅のリフォームで家賃負担が軽い住宅を再供給します。

・公共住宅の敷地や施設を有効活用し、医療施設、介護施設、子育て支援施設等の整備促進をはかるとともに、オープンスペースや緑地、子どもの遊び場、地域の防災拠点など地域社会の貴重な環境資源としても活用します。

・公営住宅の供給拡大だけではなく、空き家等の既存の住宅ストックを活用した借り上げ住宅等、自治体の住生活におけるコーディネート機能を強化します。

・雇用促進住宅の廃止をやめ、若者の雇用と住まいのために積極的に活用します。

・公的住宅政策を抜本的に強化し、公営住宅、雇用促進住宅、UR(公団)賃貸住宅、住宅金融支援機構等について、これまでの市場化志向を全面的に改め、「安心して住みつづけられる公団住宅」「みんなの心通い合う地域コミュニティづくり」をめざします。

・生活保護制度の住宅扶助は廃止し、家賃補助等による「住宅支援制度」を創設し、「住まいの貧困」に対するセーフティネットを強化します。

・居住性が悪く安全性に大きな問題を抱えている、いわゆる「脱法ハウス」をはじめ、不安定な居所に住まざるをえない人についての緊急調査と現入居者の住宅確保など適切な対応を行います。

・法的にも極めて不安定な位置にある「ゲストハウス、シェアハウス」について、法令上の全般的な整備を早急に行います。

・家賃の税制上の控除制度を検討します。

・各地における「居住支援協議会」の設置を進めるとともに、「公的な保証人制度」や「公的家賃債権保証制度」を創設します。

・高齢者施設も「住まい」と位置づけ、ユニットケアを基本とし、個人の尊厳を重視した良質な居住環境を確保するとともに、プライバシーの確保が図られるよう整備します。

・子どもを育てる世代、バリアフリーの住宅を望む高齢者世代など、人生の節目にあわせた住み替えを柔軟に行えるようにしていきます。

災害に強いまちづくり

・住宅の耐震強化改修への助成を強化します。

・大規模災害に備えた業務継続計画や自治体間の支援体制強化、省庁の枠を超えた災害弱者に優しいまちづくりの推進、消防力の充実などで、次の被災者を生まない防災体制を確立します。

・全国の公共施設、道路・鉄道・橋梁・トンネル・ダム・堤防・港湾岸壁・上下水道管など社会インフラの老朽化の実態を早急に調査・把握し、更新・改修・耐震対策を進め、こうした災害に強い国土づくりを地域活性化や新たな雇用創出にもつなげます。

・消防機関を地域に暮らす住民の安心の拠り所として、災害防止から、即時対応、被災者救済まで、総合的に情報やサ-ビスを提供する「地域安全安心センター」を目指していきます。

・消防用ヘリコプターの配置の増強や緊急消防援助隊の装備資機材の充実を進めます。消防車と救急車の機能を併せ持った「消救車」の導入を進めます。

・市民の潜在的な防災能力を引き出すための防災教育、地域におけるボランティア組織の育成など、「災害に強い人づくり」といったソフト面の整備を推進します。消防職員の団結権を回復します。

・巨大地震・津波の被害想定も踏まえ、地域防災計画や防災マップを抜本的に見直すとともに、災害時の情報システムの整備、地震・津波・台風・集中豪雨・竜巻・火山活動などの観測・研究体制の強化を進めます。

国土交通
・移動の確保は、生活を支える大事な公共サービスであり、社会生活の基盤です。「交通基本法」を早期に制定するとともに、地域公共交通確保維持改善事業を改善・充実し、地方の生活バス路線や地方ローカル鉄道に対する財政支援、フェリーや離島航路、離島への航空路線への支援策を強化します。

・安全は全ての基本であり、「運輸安全基本法」を制定します。交通・運輸産業に従事する労働者の労働時間等の改善のための基準(告示)を法制化するなど、実効あるものにします。

・「国際海陸一貫輸送コンテナの自動車運送の安全確保に関する法律案」の早期成立をはかります。

・行き過ぎた規制緩和の影響を受けている、タクシー産業の健全化・活性化、タクシー運転手の労働条件の改善を目指し、「タクシー事業法案」の成立に努力します。

・国とJRによる抜本的な支援制度を確立し、貨物輸送や地域の重要な足である並行在来線の維持・確保に努力します。

・貨物鉄道輸送や内航海運・カーフェリーへのモーダルシフトを推進し、地球環境に優しい輸送モードを実現します。

・高速道路料金全国共通距離制及び本四架橋料金引き下げの実施に当たっては、フェリーや旅客船航路、鉄道輸送等に影響がないような措置を求めます。二輪車の高速料金の引き下げを検討します。

・円安に伴う交通機関の燃油高騰対策を実施します。

・鉄道駅やバス、旅客船、空港のターミナルのユニバーサルデザイン化を進めます。バリアフリー車両開発の財政支援、可動式ホーム柵やホームドアの設置、エスカレーターへの点字誘導ブロックの敷設を推進します。音声や接触・発光ダイオード方式による情報提供装置の普及、案内表示の整備、人的サポートを強化します。

・ノンステップバスや介護タクシー、移動制約者への交通サービスを促進します。シルバーパスの充実、障がい者割引に対する公費負担制度の創設等を進めます。

・高齢者や障がい者をはじめ手助けが必要な人が気兼ねなく旅行を楽しめる、「ユニバーサルツーリズム」を推進します。

・商業施設だけでなく、公共施設や住宅、病院などを1か所に集中させるなど、まちづくりにおいて、環境負荷が小さくすべての人が快適に暮らすことができる、「エコ・コンパクトシティ」づくりを推進し、高齢者も含め、多くの人が住みやすい都市にします。

・「トランジットモール」など、公共交通をまちづくりにいかします。

・自動車の都心部乗り入れや中心市街地の自動車の総量規制、パーク&ライド、公共交通の利用拡大などで環境にやさしい交通システムをつくります。

・都市計画やまちづくりの分権化をすすめます。

・歩車道の完全分離を推進するとともに通行区分の明確化を徹底し、またスクールゾーンの増設やコミュニティ道路の充実をはかっていきます。横断歩道のエスコート・ゾーンや音響型信号機の整備を推進します。踏切の歩道設置や、踏切への点字ブロック設置をすすめます。

・パリの公共の貸し出し自転車「ベリブ」などの試みも踏まえて、公共の自転車貸し出しを支援します。自転車道の整備、自転車通行帯の設置を推進します。

・ドライブレコーダーの義務化をすすめていくとともに、飲酒した時に自動車を発進させないインターロック装置を普及させます。交通事故被害者のケアを充実するとともに、事故調書の早期開示を検討します。

・「買い物難民」問題の解決に向け、スーパーやコンビニなどの流通業者、地元商店街、自治体、バス事業者や鉄道事業者、郵便局や宅配業者、農協や生協、商工会や町内会、NPOなど、多様な主体の連携を進めます。

・高齢者でも活用しやすい宅配サービスや、山間部や福祉施設への移動販売、買い物代行サービス、地域の高齢者を集める送迎サービスなどを広げます。

・店舗の出店や撤退により地域住民の生活に大きな影響を及ぼす企業がその社会的な責任を認識することを促し、流通業者には、自治体や商店街などとの連携や、店舗撤退時の後継業者確保などに努力するよう求めます。

・海運を中心とした総合的な施策を推進するため、「海運基本法」を制定するとともに、船内における旅客の迷惑行為等防止のための法整備を進めます。

・国際貿易に従事する船員に対する政策減税の導入、外国基地に1年以上出漁する漁船員に対する住民税の還付制度の復活、海上のデジタル・ディバイドの解消などに取り組みます。

・手動式救命造水器の救命艇、救命いかだへの義務付けを検討します。

・港湾の公共性と安全性を維持するため、港湾運送料金を認可制に戻すと同時に、港湾労働法を全港・全職種の労働者に適用させます。

・離島は国土の保全等において重要な役割を有しており、地理的及び自然的特性をいかした振興をはかります。離島に暮らす人々の生活と雇用を守り、また島民が定住できる環境を整えていきます。特にヨーロッパでは離島でのガソリン税や消費税が減免されていることから、日本でもまずガソリン税の減免を行うようにします。

・離島などの海の安全を守り、漁業権や海洋権益を維持するため、海上保安庁を体制強化します。海上保安庁の老朽・旧式化した巡視船艇・航空機の緊急代替整備を推進し、被害制御・長期行動能力等を備えたヘリ2機搭載型「しきしま級巡視船」の3隻体制(現有1隻)をめざします。これら官公需船の整備による造船産業支援、地域活性化につなげます。

・領海及び排他的経済水域における海洋調査を進めるとともに、海洋情報の一元化を図ります。

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食品・農林水産業

「国家の直接支払いによる農業保護政策は、すでにEU諸国やアメリカで広く実施されている。フランスでは農家収入の8割、スイスの山岳部では100パーセント、アメリカの穀物農家の収入は5割前後が政府からの補助金だという。」
農業者戸別所得補填制度のWikipediaページからの抜粋です。欧米では農作物の半分以上が税金で賄われているというのに、日本では今、米価調整も放棄されたのではと言われるほどの生産価格の下落が起こっています。食糧自給率を高めることは、安全保障の基本。農林水産業を守り、私たちの食べものと環境を守るために、社民党は以下の政策を進めます。

・株式会社の農業参入の全面自由化など、TPP参加を念頭に安倍政権が画策する新自由主義的な規制緩和を許さず、農林水産業の再生と農山漁村の発展に全力をあげます。

・安倍政権が掲げる「農業・農村所得倍増」は何の裏付けもない空約束でしかありません。社民党は戸別所得補償制度の法制化・拡充、環境支払の強化、飼料米・稲や米粉生産など水田の多面的利用の推進などで、食料自給率は「2020年に50%以上」を目指すとともに、特に若い世代が希望を持って農業に取り組める環境を整備します。

・小麦や飼料の20%以上を米粉や飼料米・稲でまかなう「田んぼの底力をいかす農業改革法」をつくります。

・農山漁村が大きな潜在力・供給力を有する太陽光・風力・小水力・バイオマス・地熱等の再生可能エネルギー資源の有効活用と、農林水産業の6次産業化をすすめます。

・担い手の育成・確保、優良農地の維持・有効活用を推進します。一般株式会社による農地取得や長期貸借、農業生産法人の出資要件緩和は厳しく制限します。都市農業の保全・振興をすすめます。

・自治体の農業担当や農業委員会の人員・体制を拡充、優良農地の確保と有効利用を促進し公的機能の発揮を強めます。農協改革は地域の人々との連携を強化するとともに、環境保全型営農活動の展開・指導、農村環境の保全など民主的な農協活動をめざします。

・直接所得補償制度の導入、飼料購入費の補助拡大など配合飼料価格安定対策、「肉用牛肥育経営安定特別対策事業(新マルキン事業)」補てん割合の10割引き上げなど、酪農・畜産振興対策を強化します。

・鳥インフルエンザや口蹄疫の監視・診断・防疫体制の拡充と迅速化、検疫官の増員など国外からの水際対策の強化、農家への補償、自治体の負担軽減などに万全を期します。

・「森林・林業再生プラン」を着実に実行するとともに、林業事業体・技術者・労働者の確保、間伐や路網整備など森林整備の推進、地域材・国産材の需要拡大と安定供給体制の確立を進めます。

・地域林業を指導する「フォレスター」「森林施業プランナー」や林業担当の市町村職員、現場技能者の育成をはかるなど、森林・林業人材育成対策に係る事業を拡充します。

・「改正管理経営法」を改め、国有林野事業職員の協約締結権の回復を実現します。

・山村振興策を強化します。2014年度で期限切れとなる山村振興法を延長し、地域の森林資源を十分活用した林業・木材関連産業の再生や木質バイオマス利用を推進するとともに、入札制度については競争参加資格を都道府県単位とするなど、林業の地元雇用を安定的に確保できる制度に改めます。林業に最低制限価格制度を導入し、行き過ぎた価格競争を抑制します。

・野生鳥獣害対策は、駆除や防止柵設置などハード面にたよるだけでなく、野生生物の多様性を守るための森林整備、エサを残さない取り組み、耕作放棄地の活用、科学的知見に基づいた被害防止策、個体群や頭数の管理と適切な狩猟、鳥獣保護員の増員・人材育成など自治体での鳥獣行政強化、狩猟者の育成・確保などを総合的にすすめます。

・国営諫早湾干拓事業については、環境破壊の原因解明と水産資源の回復に向けて、開門に関わる環境アセスメントの結果を受け必要な防災・営農対策を講じた上で、開門調査を実施します。

・水産物の安定供給維持と漁業者の所得向上へ「資源管理・漁業経営安定対策制度」を着実に推進するとともに、担い手確保・育成支援事業を拡充し、持続可能な水産業を確立します。

・原油・燃料高騰に当たっては、国の責任で燃料代の直接補てん、休業補償、燃料高騰緊急対策基金の改善などを行い、農林水産業者・農山漁村を守ります。

・食品添加物や残留農薬基準、遺伝子組み換え食品表示など、日本が独自に積み重ねてきた食の安全基準・規制がTPP参加によって緩和・変更されることは断じて認めません。

・米国が日本のTPP交渉参加条件とした米国産牛肉の輸入条件緩和を元に戻すとともに、全頭検査・トレーサビリティの徹底・全ての特定危険部位の除去・飼料規制などBSE対策を継続・強化します。米側が求めている、米国産牛を原料とするゼラチンやコラーゲンの輸入解禁は認めません。

・すべての飲食料品に流通経路を明確にする「トレーサビリティ制度」を導入します。外食・中食産業などでの原料原産地表示を義務化し、加工食品の原料原産地表示を大幅拡大します。表示義務の厳格化と対象範囲の拡大など、遺伝子組換食品への規制を強化します。輸入農畜産物・食品への監視・規制を強めます。

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法務・共生

・2014年1月に国連障害者権利条約に批准しました。「障害者差別解消法」を円滑に実施し、国連障がい者権利条約が原則とする「社会への完全且つ効果的な参加とインクルージョン」を推進します。

・「障害者自立支援法」が改訂され、「障害者総合支援法」ができましたが、抜本的な改正には至っていません。収入認定を世帯単位から障害児者本人のみに変えること、自立支援医療に減免制度を導入すること、難病者・慢性疾患者等を制度の谷間に残さないことなど、残されている課題に取り組みます。

・発達障がい者に対する正しい認識を広げます。発達障害者支援法による支援策を強化し、都道府県の発達障害者支援センター、地域生活定着支援センターにおける受け皿つくりをすすめます。

・障がい者の法定雇用率が2013年度から引き上げられ、民間企業は2.0%(現在1.8%)、国・地方自治体は2.3%(現在2.1%)になります。障がい者の自立と共生社会の実現に向けて、法定雇用率の達成をすすめます。ハードルの高い「一般就労」と訓練的な要素が強い「福祉的就労」の中間となる「社会的雇用」の実践をもとに、社会的雇用の制度化をすすめます。

・障がい者の暮らしの基盤となる障害者年金を拡充します。

・障がいを持つ人が「参加しやすい選挙」は、お年寄りや体の不自由な人などすべての国民にとって「参加しやすい選挙」です。選挙のバリアフリー化、ユニバーサル化を推進します。

・「視覚障がい者にも使えるリモコンを」、「障がい者にもチューナーを」という要求への対応を強化します。

・障がい者が放送を通じて情報を入手するうえで必要な手段である字幕放送ならびに手話放送の増加を求めます。

・移動困難な障がい者が住み慣れた地域の中で自立し、社会参加の機会を増やすには、公共交通を整備することが第一ですが、運転免許の取得がネックとなっていることも否定できません。指定教習所において手動・足動運転補助装置を普及させます。交通の安全と障がい者等の社会参加が両立するよう、運転免許の適性試験・検査についても科学技術の進歩、社会環境の変化等に応じて見直しを行います。

・著作者の音訳を制限する著作権法を改正するとともに、「EYEマーク」運動をすすめます。

2013年参院選公約より抜粋

法務・人権
・裁判員制度や法曹養成制度を司法制度改革の趣旨に沿って見直し、開かれた「市民の司法」を実現します。司法修習生への給費制復活を検討します。

・参考人も含む取り調べの全過程可視化と、検察側が有する全証拠開示を義務化します。事後的な検証を可能とするため、捜査時の試料等の保管を義務づけます。誤判原因を調査する機関の創設を検討します。

・国際潮流を踏まえ死刑廃止を含めた刑罰制度の見直しを行います。いわゆる「代用監獄」の廃止など、被疑者・受刑者の人権確立に取り組みます。

・行刑施設を出所した者の再犯を防ぎ、社会への定着を促進するため更生保護のための施設や制度を強化します。少年犯罪については少年の特質を踏まえた教育・福祉的な対応を強めます。

・政府から独立した実効性のある人権救済機関を設ける「人権侵害救済法」を制定します。

・生命の尊重、身体の自由、思想・良心・表現の自由、居住・移転・出国の自由、少数民族の権利などを定めた「国際人権規約B規約」の選択議定書を批准し、個人通報制度を設けます。

・これまでの法務行政を徹底的に見直し、存在が時代にそぐわなくなっている公安調査庁を廃止します。

・犯罪被害者の救済制度を充実・強化します。警察による相談機能の強化をはかります。

・秘密保護法など、政府による情報統制と対決し、知る権利を守ります。

・「共謀罪」の新設に反対します。

・テロ行為への直接利益提供者にとどまらず、処罰対象者の範囲や対象行為を際限なく拡大する与党の「カンパ禁止法(公衆等脅迫目的の犯罪
行為のための資金提供等の処罰に関する法)改正案」に反対します。

・通信の秘密という重大な人権を侵害し、警察によって恣意的に運用される可能性が高い「通信傍受法(盗聴法)」を廃止します。

・家族構成や住所、所得や年金給付額、病歴などあらゆる個人情報を国家が管理し、監視社会に道を開く「マイナンバー(共通番号)制度」の廃止を強力に求めます。

・外国籍市民との共生をめざす施策や審議機関の設置を推進します。地方公務員採用の「国籍条項」を撤廃します。外国人労働者の労働条件、就業・居住環境の改善に取り組みます。外国人学校への支援を強化します。

・人道的見地から難民及び難民申請者への医療・公的扶助・在留資格付与・就労許可等の支援措置を講じます。申請・認定・自立のプロセスが円滑に進むようにします。難民条約が遵守されるよう政府を監視します。

・「人権教育・啓発推進法」の所管を内閣府に移し、政府全体として取り組む体制を整備するなど同和教育、啓発活動を強化します。

・「アイヌ文化振興法」を北海道外で生活するアイヌ民族に拡大することを求めます。多民族共生の社会を実現するための取り組みを進めます。

・性的搾取・虐待から子どもを守る取り組みを強化します。単純所持を刑事罰化する与党の「児童ポルノ禁止法改正案」は、捜査権濫用の危険性があり表現の自由を侵害しかねないため反対するとともに、児童ポルノの定義を限定・明確化した上で根絶へ積極的な防止対策を講じます。

・性別違和への偏見解消に取り組みます。職業選択・雇用や公営住宅・高齢者施設への入所などについて、性自認を理由とした差別的取り扱いを禁止します。性別にかかわらず多様な形態の家族に対して民法上の権利を保障する、フランスのPACS(連帯市民協約)にならった新制度の創設を目指します。性別適合手術などへの健康保険適用を行います。

男女平等を推進します

・「育休3年」や「生命と女性の手帳」(批難の声が多く中止)など、安倍政権が打ち出す性別役割分業を固定化する政策を監視し、男女平等政策の後退を許しません。憲法を護り、個人の尊厳、男女平等の権利を確立します。

・女性差別撤廃条約・男女共同参画社会基本法にもとづいて、法律や社会制度を見直して男女平等を推進します。
選択的夫婦別姓制度の導入、婚外子差別の禁止、婚姻年齢を男女同一の18歳とすること、女性だけに定められた再婚禁止期間の廃止など、男女平等の観点から民法を改正します。

・女性差別撤廃条約の実施措置として個人通報制度と調査制度を定めた「女性差別撤廃条約選択議定書」の早期批准を目指します。

・女性の社会参画を推進します。あらゆる意思決定の場における女性の参画を推進します。クオータ制度(男女比割り当て制度)導入など、ポジティブ・アクション(特別な差別是正措置)を講じていきます。

・特に女性の政治参画を推進します。在職立候補制度の導入、供託金の引き下げなど、女性議員を増やすことができるよう選挙制度を見直します。

・農産漁村、自営業で働く女性たちの労働を正当に評価し、社会的地域の向上をはかります。

・女性への暴力をなくします。ドメステック・バイオレンス(DV:パートナーの間の暴力や支配)を根絶します。保護命令の改善、加害者教育の追加など、「DV防止法」を改正し、施策の強化をはかります。

・各都道府県の「配偶者暴力相談支援センター」、市町村の相談窓口の認知度を高め、支援機関のネットワーク機能を強めるよう働きかけます。

・DV防止教育と情報提供を、民間機関と連携して充実します。相談事業やシェルターなどを行う民間の被害者支援団体への資金的基盤づくりを促進します。

・あらゆる性暴力を禁止し、被害者の人権とケアを保障する「性暴力禁止法」をつくります。人身売買を根絶します。「人身取引被害者保護法」をつくります。

・母体保護法・堕胎罪を撤廃し、出産・避妊・中絶など、女性のからだの自己決定権を保障する「女性のからだと健康に関する基本法」をつくります。

・学校教育や保健活動などを通して性に関する正しい知識を男女ともに提供します。HIVや性感染症に関する正しい情報を普及し感染予防、早期発見早期治療につなげます。

・医療保健機関の「女性外来」や「思春期外来」、性とからだに関する相談所などをサポートします。

・雇用における男女平等を実現します(雇用政策に別記)

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エネルギー・環境

エネルギー政策
社民党は脱原子力の立場を明確にしている政党です。

原子力発電は万一事故の際の危険が極端に大きく、その被害が甚大なものとなることが予想されます。とくに国土の狭い日本においては国家の存続にも係わる破滅的な事態にも至りかねず、決してあり得ないことではない過酷事故のリスクを私たちは引き受けることはできないのです。また、原子力発電はウラン採掘から精錬、濃縮、加工、発電、運搬等の一連のプロセスの各所で被ばくをともない、周辺環境を汚染します。さらに、原子力発電にともなって必ず生じる放射性廃棄物の処分方法について、いまだ結論がでておらず、運転すればするほど「核のゴミ」がたまり続ける「トイレのないマンション」と例えられるような状況です。私たちの現在の電力のために千年・万年の単位の子々孫々の代まで、核のゴミを残すようなことが許されるのでしょうか。

社民党は代替エネルギーの開発を進めながら、危険性の高い原子炉や古くなって運転寿命に達した炉から順次、廃炉としていく段階的なアプローチを主張しています。これはエネルギー安全保障を高め、新たな産業振興と雇用の拡大をはかると同時に、地球温暖化防止など環境保護にも寄与することができる有益な選択なのです。

(1)プルトニウム利用計画の中止

使用済の核燃料を再処理し、取り出したプルトニウムを高速増殖炉の燃料として使用するという「核燃料サイクル計画」が日本の原子力計画の前提とされていました。この計画の中心であった高速増殖炉開発は1995年の「もんじゅ」のナトリウム漏れ火災事故で行き詰まり、他の先進各国でも、度重なる事故とコストが原因で断念されています。仮に高速増殖炉開発がうまく行っても2100年にやっと1%程度の電気がまかなえるだけであり、非現実的で極端な高コストとなるプルトニウム利用への固執はエネルギー安全保障上もマイナスです。核拡散上の問題も多いプルトニウム利用計画は直ちに放棄します。

(2)電力・エネルギー需要の抑制

省エネルギー法を強化し、電力需要の伸びを抑制します。具体的には、電気機器のエネルギー効率のさらなる向上、電力会社の徹底したDSM(ディマンド・サイド・マネジメント:需要面の方策)実行の要請、住宅政策や都市計画の中で省エネルギー努力の義務化などを行ない、冷暖房温度の適正化、エコアイスや温水器等のエネルギー効率の悪い夜間電力消費拡大を規制します。電力への依存率をあげずに総エネルギー需要を10%程度抑制するという目標を設定し、産業界、地方自治体、公共機関などに目標達成を義務づけます。

(3)自然エネルギーの普及促進とベース電源の置き換え

自然エネルギー促進法を成立させ、自然エネルギーによる電力買取りを義務づけ、自然エネルギーの普及を後押します。現在は2010年に3%としか位置づけられていない自然エネルギーの比率を10%以上に設定しなおし、これを政策目標とします。

現在、原子力発電が電力供給に占める比率は約3分の1ほどです。ところが実際には、電力ピーク時でさえ約7000万kw、30%以上の原子力発電以外の設備が余剰になっており、設備能力だけで言えば原子力発電を明日からゼロにすることも可能なのです。このような状況を引き起こしているのは、原子力発電をベース電源と位置づけているからで、この役割をまず天然ガス複合発電に置き換えます。その上で、老朽化した原子炉を運転中止し、20年以上運転した原発は原則として廃炉とします。

第2段階として、風力発電の普及促進状況に対応して、風力発電をベース電源に組み込ます。しばらくの期間は風力発電と天然ガス発電がベース電源の役割を担うこととし、次第に天然ガス発電の比率を減らしながら、最終的に風力発電をベース電源とします。

(4)エネルギー安全保障とベストミックス

通常、着工から運転開始まで10年から20年を要する軽水炉は、今すぐ着工できても運転開始は2010年以降になります。原子力発電の立地の困難さを考えるならば、原子力に頼り続けることが、逆にエネルギー危機を作り出すことになりかねません。

エネルギー安全保障を考え、下記のようなベストミックスを目指します。

ベース電源:天然ガス複合発電、風力発電、水力発電
ミドル電源:燃料電池、石油火力発電
ピーク発電:太陽光発電によるピーク平準化と石油火力発電

(5)自然エネルギー促進による雇用の拡大

EUは2010年までに自然エネルギーの比率を域内総エネルギー消費の12%にするという計画です。100万個太陽光発電システム、1000万kw風力発電、1000万kwバイオマスなどの目標を掲げ、10兆円の投資を行なおうとしています。これは100万人の雇用をつくりだすと試算されているものです。  欧米各国は、自然エネルギーの普及を産業振興と雇用拡大の重要な鍵と考えているのです。

日本は2010年に新エネルギー3%という低い比率しか掲げていませんが、これを10%に引き上げ政策的投資を行なうことでEUと同等の雇用拡大を獲得できると考えられます。

(6)日本における温室効果ガス抑制と発展途上国への技術援助

エネルギー需要の抑制と自然エネルギーの普及・促進で、2010年頃に温室効果ガスの排出1990年レベルから6%削減(現時点からは15%削減)を達成します。総エネルギー需要10%抑制と自然エネルギーの比率を10%に高めることで、この目標は十分達成できるはずです。日本で確立された風力発電、太陽光発電、バイオマスなどの技術を、中国をはじめとするアジア各国に積極的に技術移転することで、日本は地球規模で温暖化防止に寄与することができると同時に、自然エネルギー産業の大きな市場とさらなる雇用を確保することが可能となります。

“原発1基分に相当・洋上風力発電特集” [→詳細]
社民党エネルギー政策より

環境政策

・京都議定書の「第2約束期間」に早急に参加し、温室効果ガスを2020年までに1990年比30%減、2050年までに同80%減を実行するための「地球温暖化対策基本法」を早期につくるなど、地球温暖化防止対策を推進します。

・産業界などに温室効果ガスの排出枠を配分する「キャップアンドトレード型」の国内排出量取引制度を導入します。

・実効性ある環境税を導入し化石燃料の消費を抑制、新たな環境産業の育成を促すとともに、福祉・社会保障分野、森林整備などの財源にも充当します。

・脱原発を進めると同時に、再生可能エネルギーの割合を2050年までに100%を目指します。

・スマートグリッド(次世代送電網)の普及をはかるとともに電力会社の地域独占体制を見直し、市民参加型・地域自給型のエネルギーシステムを構築します。

・都市のみどりを増進するため都市公園の造成やビオトープの創出、農地や緑地の保全と市民農園の拡大、屋上緑化や市街地の植樹、公立学校の芝生化、近郊の里山保全などをすすめます。

・開発抑制や里山・里海の保全、外来種や遺伝子組換食品・作物の規制強化など、生物多様性の維持・回復に全力をあげます。「種の保存法」の規制対象範囲を大幅拡大し希少種を指定する科学委員会を新設するなど、生物多様性に係る法制度を見直します。

・循環型社会の形成へ、廃棄物対策をすすめます。民間まかせの産業廃棄物行政から自治体の関与を強めた廃棄物対策を進めるため、排出事業者の処理責任・費用負担の強化、産廃の排出先は公共的施設に限定する、産廃市場は公共が管理することなどを追求します。不法投棄の管理を徹底します。

・戦略的環境アセスメント(SEA)を早期に本格導入し、対象を政策・立案・構想などの上位計画段階にも広げ「ゼロオプション(中止)」という代替案も義務づけるなど、環境アセスメントを拡充します

・水基本法を制定するとともに、いのちの源泉である「水」の民営化に反対します。公共財である水を守り、安全な水行政を推進します。

2013年参院選公約より

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地方自治・政治改革

地方自治
「民主主義の学校」である地方自治を保障している日本国憲法は、戦争遂行の国家総動員体制を支えた地方支配システムを否定し、平和と民主主義を根付かせることで戦争への道を防ぐものとなることを期待しています。しかし、自民党憲法改正草案は、地方自治の範囲の限定や地方自治体の協力義務の新設、受益者負担主義など、国策に協力する地方制度への再編を目指したものとなっています。社民党は地方自治を充実・発展させ、地域から民主主義を創っていきます。

・権限・財源を一体として地方へ移譲するなど、分権・自治を積極的に推進します。ただし、保育や介護、児童養護、障がい者福祉、男女共同参画、義務教育など、生存権や安全の確保、人間の尊厳や子どもの成長に深くかかわるサービスについては、国が最低基準を設けることを前提とするとともに、当事者・社会的弱者の声が反映されるようにします。

・「市民自治」を基本にすえた「地方自治基本法」を制定します。住民の意思を直接、自治体の選択に反映させるため、住民投票を制度化します。

・道州制導入によって、道州間の格差に加え道州内格差の一層の拡大、周縁部となる農山漁村の疲弊や身近な行政の後退につながり、「選択と集中」の論理による「地域切り捨て」が懸念されます。憲法の規定する直接請求や、地方特別法に対する住民投票の意義が損なわれることも問題です。住民不在で、国民的論議も不十分であり、市民から遠くなる道州制を拙速に導入しません。都道府県を広域的な自治体として機能強化するなど、現行二層制での分権・自治を進めるべきです。広域の行政課題に対しては、広域連合を活用します。

・市民に身近な基礎的自治体がその能力や地域の実情に応じて権限・事務を選択できるようにして、すべての基礎自治体が自律可能な都市制度の確立をめざします。政令指定都市制度について、分権・自治を進める観点から見直しを行い、住民がよりよい行政サービスを受けられるよう、それぞれの地域の実情に応じた、新たな大都市制度のあり方を検討します。大阪市をなくし分権に逆行する「大阪都構想」には反対です。

・国の地方出先機関の改革に当たっては、分権・自治を進める観点から、二重行政にならないよう、国と自治体の役割分担、事務・権限や財源、人員移管などのあり方を十分に検討しながら対応します。

・地域(市町村合併前の旧町村や小中学校区単位など)における市民(住民)参加のしくみを追求し、小さな自治(自治体内分権)を実現します。

・税財源の移譲を進め、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系を構築し、現在6対4となっている国税と地方税の割合を当面5対5にします。将来的には、国と地方の新たな役割分担に応じた税の配分となるよう、地方税の配分割合をさらに引き上げます。地球温暖化対策にかかわる地方の役割を踏まえ、地方環境税を導入することを検討します。

・地方交付税は地方固有の共有財源であり、法定率の引き上げを含め、財源保障・財政調整機能を強化します。累増する臨時財政対策債について、そのあり方の全面的な見直しを行います。地方公務員給与の引き下げを要請する手段として一方的に行った地方交付税の削減には反対です。地方公務員給与に関する各自治体での労使交渉が尊重されるよう、必要な財源を確保します。

・法定化された「国と地方の協議の場」に各種分科会を設けるなど充実します。社会保障制度等の改革に当たっては、地域の現場に即した制度となるよう、地方の声を十分に反映させるようにします。「国と地方の協議の場」において、地方財政計画の策定や地方消費税への税源配分の検討、地方交付税の算定などについて、地方財政に自治体の意見を反映するようにします。

・国庫補助負担金については、国・自治体の役割分担に応じて必要な財源保障をしつつ、一般財源化や一括交付金化をすすめます。公共事業等を中心とした一括交付金を維持・拡充するとともに、地方にとって使い勝手のよい制度となるよう、仕組み等必要な見直しを行います。社会保障や義務教育にかかわる国庫補助負担金は、一括交付金の対象とはしません。地方の自由度が拡大しない単なる補助率カットや補助金削減は行いません。

・それぞれの地域の特色をいかし、「生きる営み場」としてのいきいきとした地域を再生し、「創造的地域社会」を目指します。NPOや市民の力を地域再生にいかします。コミュニティ再生に取り組みます。「地産地消」、「地域通貨」、「福祉事業とワーカーズコレクティブ」、「コミュニティ・ビジネス」「リビング・ウェッジ(生活保障給)」、都市と農村をつなぐ施策など、地域再生の様々な自主的努力をバックアップします。

・「緑の分権改革」で地域の自立的経済をつくり、「地域力」をアップします。地域固有のエネルギー源を活用した地産地消、多極分散の地方分権型エネルギーへ転換します。地域の特性や環境条件を活かし、地域固有のエネルギー源(地熱、小水力、小規模風力、畜産や林業などのバイオマス・エネルギー、太陽光・熱など)を活用した地域分散エネルギー供給システムを構築します。

・地域の雇用を維持、創出し、若年者や高齢者、女性、障がい者などの就業支援を充実するため、「雇用創出基金」など地方の自主性が発揮できる財源を確保・充実します。

・自治体は、政策を通じて公正労働、福祉、環境、人権、男女平等参画などの社会的価値を実現する役割と責任を担っており、これらの社会的価値を落札基準に加える「政策入札」への転換を図ります。

・「女性活躍推進交付金」を創設し、保育サービスの充実、企業等の誘致や働く場の創出、地域資源を活用した両立支援、柔軟な働き方の仕組みづくり、男性の家事・育児参画の促進など、地域ごとに効果的な取り組みを展開します。

・空き店舗を喫茶店や見守り活動、住民の集いの拠点として活用し、住民同士の「助け合い」の輪の拡大などの取り組みを支援します。

・地域社会全体の財産としての「歴史的環境」(すぐれた「町並み」や「景観」など)を守り、再生します。産業遺産やSLを観光資源として活用します。民謡・民話・生活技術など民衆文化の担い手に対する助成・育成策を強化します。

・郵便局の全国ネットワークと郵便・貯金・簡保のユニバーサルサービスを守ります。郵貯資金による低所得者や中小ビジネス、ベンチャー企業、再生可能エネルギー産業、女性の起業、NPO、ワーカーズコープなどへの投資・融資を推進します。郵便局を地域公共サービスの拠点として活用します。

・過疎地域の振興をはかるとともに、限界集落をはじめとする集落対策等を総合的に推進するため、新たな過疎対策法をいかした取り組みを推進します。

・山間地域の自然環境や国土保全、水源涵養など多面的な機能を評価するとともに、農林業や地場産業の振興、生活交通の確保、医療の確保、雇用の確保、教育環境や道路・上下水道・情報通信基盤の整備、生活環境の改善など、地域に応じたきめ細やかな定住対策を進めます。

・「安全な国」神話が崩れ、市民の間に不安が広がっており、犯罪を減らし安心できる社会を取り戻すことが求められています。警察不祥事の根絶と信頼回復、捜査能力の向上に取り組むとともに、関係自治体や地域住民の声を尊重しつつ「空き交番」の解消を進めます。

・昨年10月に発足した「消費者安全調査委員会」について、消費者の立場にたった迅速かつ実効性のある事故原因調査と再発防止策の提言ができるよう、予算拡充や調査に当たる専門委員の増員など体制整備を進めるとともに、他の行政機関が行う調査を追認するだけの機関とならないよう独立性確保へ監視を強めます。

・消費生活センターの人員増や相談体制の強化、消費生活相談員の処遇改善など、消費者行政の総合的な拡充を進めます。「地方消費者行政活性化基金」を延長し国の財政支援を継続的に行うなど、各地域での消費者施策の実施に対する国の支援措置を強化します。施行された「消費者教育推進法」を生かし、消費者教育を体系的に実施します。

・悪徳商法などの被害回復を目指し、特定の消費者団体が被害者に代わって集団訴訟を起こす「集団的消費者被害回復制度」を早期に実現します。悪質な事例は過去のトラブルにもさかのぼって適用できるようにするとともに、団体訴訟を担う適格消費者団体や、消費者相談を行っている消費者団体に対する国の財政支援や税制上の優遇措置を講じます。

政治改革
現行選挙制度における「一票の較差」、「死票」、得票率と議席率の「乖離」をなくし、多様な民意が反映する公平な選挙制度とするため、比例代表中心の選挙制度へ抜本的に改革します。また、選挙制度の改正に当たっては、各党派の合意を尊重し、少数会派の切り捨てにならないよう求めます。

・参議院の選挙制度については抜本改革し、選挙区選挙を都道府県単位から全国11ブロック単位に改め、「一票の較差」を是正します。

・議員の定数は、立法機能の在り方や国会が果たすべき行政監視の役割、民主主義を保障する有権者の代表などの観点から、適正な議席数を確保すべきであり、財政事情、ましてや増税と絡めて議論すべき性格のものではありません。また、日本の議員定数は各国と比べ少なく、議員定数の削減は、官僚主導の政治に取り込まれる恐れもあります。よって、定数削減、特に民意を議席数に反映しやすい現行制度における比例定数の削減に反対します。

・インターネットを使った選挙運動を全面解禁するにあたっては、視覚障がい者の方などへの対応に万全を期すとともに、個人のプライバシー情報やビッグデータの取り扱いについての議論を喚起します。

・政党や政治家の情報を入手する機会の拡大や有権者との対話を重視する観点から、戸別訪問の解禁、立会演説会の開催、高齢者が多く利用するFAXを使用した選挙活動の解禁など、選挙運動に対する規制のあり方を原則自由化の方向で見直します。そのため、抜本的な公選法見直しのための各党協議会の開催を求めます。

・選挙の公正性の確保や有権者の選択の拡大、多様で活力ある政治を実現するため、同一選挙区からの世襲立候補や政治団体の継承を制限します。また、会社などを退職しなくても立候補できる立候補休職制度・在職立候補制度の導入や供託金の引き下げなどで、だれもが立候補しやすい選挙制度に改革します。

・政党や政治資金団体への企業・団体献金をただちに禁止します。「抜け道」に使われている側面がある政治団体の機関紙誌への広告料の規制、迂回献金の禁止、政治団体の献金規制などを実現します。

・内閣官房機密費(報償費)の透明化に向けた法律を制定します。

・自治体首長・議員の私設秘書の追加、構成要件の明確化、第三者供賄規定など、あっせん利得処罰法の強化改正に引き続き取り組みます。
政治資金の透明性を向上する観点から、国会議員ごとに政治資金収支報告書の中央・地方の一元的把握、政治家の資金管理団体、政治団体、後援会の連結決算の実現を求めます。

・政治倫理審査会を改組・拡充し、政治倫理委員会を常任委員会として設置します。国会議員の資産公開に対する実効性の確保などの面から政治倫理法を改正します。秘書などの会計責任者が政治資金規正法に違反した場合、議員本人も失職するなど、監督責任を強化するようにします。国民の政治への信頼回復を目指し、政党への企業・団体献金の禁止、秘書に対する監督責任の強化など、政治資金規正法をすみやかに改正します。

・税額控除の拡大やネット献金の推進などで個人献金を広げます。

・国民の多元的な意思をより良く国会に反映するとともに、衆議院及び内閣に対するチェックアンドバランスを発揮するよう、参議院の改革に取り組みます。

・行政改革の目標は、国民・住民の視点で、真にゆとりと豊かさを実感できるように、新時代にあう政治行政制度へのモデルチェンジを行うことです。明治以来の中央集権、官主導の行政から地方分権、情報公開の徹底を通して、主権在民にふさわしい市民主導の開かれた民主的な行政への質的な改革を進めます。

・公共サービスの担い手は人であり、国民のくらしをまもり、公共サービスの水準の向上のためにも必要な人員を確保します。公務員制度について、公務員の労働基本権を回復し、公務員の自律的労使関係を確立するとともに、民主的で透明・公正な公務員制度改革を実現します。また、消防職員への団結権付与を含む地方公務員制度改革を実現します。

・公務員の採用試験区分を見直し、特権的なキャリア制度を廃止するとともに、原則試験に基づく昇格制度を採用し任用時における昇任差別をなくします。早期勧奨退職制度を廃止し、在職期間の長期化を図るとともに、「天下り禁止法案」の成立を図り、特殊法人、独立行政法人等も含め徹底した規制を行います。

・政策責任者を協議に加えたり、議長や閣僚を呼ぶことができるようにするなど、両院協議会の改革に取り組み、新たな合意形成の仕組みをつくります。

・議員立法を活性化するため、議員・政党の政策スタッフ及び国会の立法補佐機構である法制局、調査局、国会図書館の機能を質・量ともに充実させます。議案提出要件(衆議院20人以上、参議院10人以上)を緩和し、少数会派であっても法案を提出し意見表明が可能となるようにします。

・質問権や調査権を拡充する等によって、国会の論戦において野党が自らの意見表明、政府責任の追及などが可能となるようにします。

・国会の委員会や立法補佐機構等が収集した国政上の重要な情報を集中管理し、議員や会派の要請に応じて迅速に当該情報を提供するとともに、国会情報を広く国民に提供するため、国会情報センターを設置するなど、国会の情報公開をすすめます。

・違法な税金の使い方を国民がチェックできるようにするため、国民監査請求制度を導入します。田中ひでゆき市議

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